今、仮想通貨投資でつらい思いをしている人がいるでしょう。
昨年11月には、仮想通貨の代表銘柄であるビットコインの価格が、最高値720万円を付けました。
そこが天井となり、ご承知のとおり今年に入ってはダウントレンドに終始するという、投資家にとっては非常に厳しい一年になりました。
2022.11.18時点でビットコイン価格は230万円。
ピーク時の3分の1以下です。
すでに損切りし、気持ち的にもけじめを付けたという人もいるでしょう。
一方で、損切りに踏み切れず(いや、確固たる信念を持って)、ホールド維持している投資家もいるでしょう。
今日は、そのような投資家に向けて、個人として感じることを書きます。
今でも、自分の手元にはメモがあります。
そこには、「コンコルドの誤謬」と記されています。
コンコルドの誤謬
サンクコストを惜しみ、投資をやめられないこと。
これまでに費やした金銭や労力、時間などのコストを取り返そうとし、さらに損失が拡大すること。
コンコルドというのは、フランスはじめとする、今日でいう欧州連合が開発した当時世界最速の超音速旅客機の名称です。
機体のフォルムが独特だったことなどから人気を呼んだのですが、開発費や維持費、燃費などが高過ぎるという難点がありました。
そのため受注が伸びなかったにもかかわらず、既に投入した費用の回収や開発の責任問題回避といった理由から撤退もままならず、大赤字で失敗したプロジェクトのことです。
このメモを書いたのが、2018年11月。4年前ですね。
2018年というのは、前年の年末に付けた当時最高値220万円をピークに、コインチェックのネムハッキング事件などを経てビットコイン価格が下落した年です。最終的に価格は40万円付近まで下落します。
2018年ビットコインチャート円建(trading view)
ディセンディング・トライアングルと呼ばれる持ち合いから、さらに一段安となったのが11月末です。
当時ビットコインを保有する握力には、無根拠な自信がありました。なにしろ、1ビットコインを10万円から仕込んでいたわけなので、まだ余力はあったのです。
それでも、この11月にはさすがに手のひらからビットコインがこぼれ落ちるような感覚で苦笑、ポジションを少し落としてしまいました。
これが自分の弱さであり、投資をするうえで自分自身を信用できない原体験となりました。
握力の強さというのは、ただの「コンコルドの誤謬」だっただけじゃないか?
そのような自己不信に陥ったのが、2018年11月だったのです。
はっきり覚えていますよ。2018年の11月28日です。大暴落の日です。
2018年に減らしてしまったポジションですが、
それでもすべて売却した訳ではなく、一定数は握り続けました。
この、握っていたポジションを最終的に2022年5月に、すべて手仕舞いしました。
2017年当時はビットコインだけではなく、イーサリアムやライトコインも相当数持っていたので(何といっても、今とは比較にならない安さだった)、2022年まですべて持っていれば金額いくらになっていたか?2、3億、くらいじゃきかないと思いますね。そんなもんじゃなかったと思います。
すべてはタラレバです笑。
それでもなんとか、自分としてビットコインによって資産を増やし、今日に至るまで投資のまねごとを出来ているのは、あのとき2018年に全撤退していなかったからです。
こういうのは、本当にメンタルの微妙なあや。紙一重なのです。
こういう、精神的に苦しい局面で、ポジションを軽くしたいという、逃げたいという感覚に囚われるのは致し方ないことだと思います。
我々は機械ではない。人間なのです。
しかしそれでも、苦しい自分を少し上から俯瞰してみて、もう一人の自分の目線でこの先の行動を考える。
そういう落ち着きが大切です。
自分は落ち着いている。そう思うかも知れませんが、決して落ち着いていません。
今、この局面で、あなたは落ち着いていないのです。
ビットコイン価格は、さらに下落するかもしれない。
FTXの問題も、この先の展開が読めません。binanceからの資金流出も止まりません。
このような局面で、あなたは本当に落ち着けますか?
市場はあなたの精神を、ためらいなく揺さぶってきます。
それを認識し、もう一人の自分と対話を深めてください。
そして、二人で話し合った結果を、全責任として受け入れる。
すべては自分に帰結する。
それを踏まえ、後悔のない選択をしてください。
個人的に、今後の価格推移について自分なりのシナリオはあります。
有名なインフルエンサーも、今後の見通しを各々発信しています。
しかし結局のところ、そんなものはあまり関係ない。
予想が外れたら他人のせいにして逆恨みする程度なのがオチです。
繰り返しになりますが、すべての答えは、
自分と、もう一人の自分がすでに知っているのです。
我々は、そもそも弱い、大したこともない存在でしかないのです。
そのような人間が投資で生き残ろうなどと考えるなら、どのように立ち振る舞うべきなのか、そこに思いを至らせなければなりません。