「つい先日まで」、アメリカでの人手不足が深刻で、インフレの一要因になっていると指摘されていました
物流や飲食業界などでコロナをきっかけに離職した労働者が、ふたたび労働市場に戻りたがらなかったようなのです
いくら賃金を上げても求職者が集まらない。それが7%以上上昇したといわれるインフレの圧力になっていた
また日本でも、FIREなどとよばれるセミリタイアがムーブメントになりつつありました
今でもYoutubeで、FIREを取り上げたチャンネルが多くありますね
多くの人が、企業労働者としての立場を手放そうとした
それはなぜなのか?
今日は、その理由について考えてみます
以前このブログで、洋服の買い方について記事を書きました
アウトドア・ブランドのパタゴニアの例を挙げ、これからの服選びについて考えたのです
パタゴニアというメーカーは、消費者に対して、無理に服を買わせようとしない。
むしろ、「無理に買わないで」というアナウンスを流す。それは、企業経営の視点からみて正しいことなのか?
記事を書きながら、そんなことを考えていました
そもそもですが、企業が事業活動をおこなう目的とは何なのでしょう?
それは、利益を出すことです
事業をするために出資した人々、つまり株主、資本家に対し利潤の還元をする
つまり、利益の追求こそが資本主義経済下における、企業の最大の目的なわけです
だとすれば、パタゴニアのやってることは、企業として正しいことなの?
ここに、大きな問題があるわけです
企業経営者は、株主から常にプレッシャーを掛けられます。企業業績を上げ、利潤を上げる。それが経営者に課せられた使命でした。というより、今でもほとんどの企業では、それは変わることがありません
しかし、一方で企業は、例えば
・消費者に、いかにもっとたくさん買わせるか
・いかにして、人員を削減するか
・いかにして、より低コストの国に生産拠点を移管するか
を目指すことで、最終的な利潤を際限なく追及する。エンドレスですね
しかしまた、それは日本の縮図でもありますね
・多くの人が大量消費、大量廃棄を当たり前にして日々を暮らしています
・ほとんどの企業でリストラが敢行され、ぎりぎりの人員で業務をまわしている
・日本の人件費では割が合わなくなった企業は、中国沿岸部→内陸部→タイ→ベトナムへと生産拠点を移動させ、より安価な労働力で生産活動を行っています
結果的に、日本は30年間で平均賃金が4%しか伸びず、OECD加盟国でもダントツの低成長国となったのです
ちなみに、アメリカは48%の伸び。OECD平均でも33%です。確実に、日本の労働者は貧乏になっています
以前Youtubeを見ていて、アメリカの離職者が止まらないというテーマの番組を観ました
モニカのFIREセミリタイアチャンネルです
アメリカ在住のモニカさんが、FIREのみならずアメリカからの視点で経済、社会問題を解説してくれます
アメリカでは、企業労働に疲れた労働者をBurned-out(バーンアウト)と呼ぶらしい
何に疲れたのでしょうか?
コロナの疲れもあるでしょう
また、これまでの企業での労働の在り方に対する疲れもあるのでしょう
もしかすると、
株主つまり資本家にしか目先が行かない、会社というものに対してアメリカの働き手が愛想を尽かしはじめたのではないか。そんなことを感じます
利潤の追求のために、働き手がないがしろにされ、また結果的に、彼らが住む地域(国)もないがしろにされ、消費者まで何か大切なことをごまかされて買わされる
そんなことを続けてきた会社というものに、愛想が尽きてきたんじゃないですかね。そういうことが、コロナではっきりしてきたんですよ、多分
これからの企業は、いままでのように自社の利益しか考えないという姿勢では、許されなくなってくるはずです
そんな企業は、これから淘汰されるでしょう
今、Purpose(パーパス)が注目されています
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パーパスとは何か?
企業が、何のために存在しているのか?
どのような社会的責任を果たしているのか?
そんな問いに明確に答えられない企業は、今後社会から必要とされないということです
繰り返しになりますが、
これまでの企業にとって最大の目的は、企業利益の最大化でした
しかしこれからは、
企業が社会的な存在意義を有していないと、そもそも必要とされなくなる。もちろん、働き手からも、消費者からもです
会社の利益と、社会的利益の両方を求めること。追求すれば、きっと道が拓けるはずです
ただ思うのですが、
それは企業だけでなく、我々一人の個人にとっても同じことなのかも知れません
自分の利益を追求するだけでは、いつか周囲から相手にされなくなる。
自分は何のために存在するのか?
自分の社会的価値は何なのか?
FIREを達成した人は、多くの時間を手に入れることになりますね
しかし一方で、あまりに暇すぎて苦笑、またサラリーマンに戻る人もいる
どんな生き方をするにせよ、これからは企業も個人にとっても、Purposeが必要な気がするのですけどね
ちなみに、冒頭で「つい先日まで」と書いたのにはわけがあります
テスラのCEOイーロン・マスクが従業員に対して、会社への出勤による勤務か、さもなくば辞職かを迫るような通告をしたのですが、
IT系、グロース銘柄と呼ばれる多くの企業で、すでにレイオフが始まっているらしい
株価の下落によって、新規の資金調達に支障を来す企業も増えているようです
まあ、見ててください
ここから、企業というものが人間をどのように扱うのか、
そんなことの示唆になる事象が、我々の目の前で次々と起こるはずですから