Another skyを探す旅

激変する世界を生きるヒント。それは自分の足元にある

コロナと経済覇権。 「中国をめぐるパワーバランス」に切り込んでみる ③

f:id:Kicks2018:20200813130902j:image

 

「華僑」と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか?

 

中国出身のお金持ち、商売上手、といった感じでしょうか

 

フィリピンほど、華僑が幅を利かせる国もあまりないのではないかと思います

 

今日は、フィリピンという国をモデルにして、政治と華僑のつながりについて考えてみます

 

 

www.glocal2019.com

 

 

 

www.glocal2019.com

 

 

 

今日が、3回目になります。今日で記事は最終回です

 

 

f:id:Kicks2018:20200813133036p:image

 

フィリピンの大統領、ドゥテルテが中華にルーツを持つという話は、前述しました

 

おばあさんが、中国出身者なのです

 

なので、ドゥテルテ自身、中国語が理解できるらしい

 

このおばあさん、中国のなかでも福建省の出身だというのです

 

といっても、フィリピンに多くいる中国人で、福建出身というのは少なくないはずです

 

なんといっても、華僑といえば、福建出身者が多いことで有名です

 

フィリピンには多くの財閥がありますが、中華系のルーツを持つ財閥は多い

新興財閥の多くは、華僑です

 

2020.8.4の日本経済新聞に「フィリピン財閥、勢力変動」という記事がありました

 

サブタイトルは、「大統領が敵視、ロペス弱体化」です

 

今、ドゥテルテ政権は財閥解体を掲げて、既存の産業、特にインフラの改革に着手しているとされますが、放送局ABS-CBNをはじめ、通信などインフラ産業を標的にしています

これらは、許認可事業が多いのが特徴です

 

もともとフィリピン政府というのは、国家財政が潤沢ではないので、民間にインフラ産業を委託することで国内の基盤を整備してきました

 

なので、電気料金が高めなのも、運営しているのが民間会社ゆえとも言われます

 

一方で、財閥としても政治に近づいて、利権を確保したい

 

それを考えると、華僑と大統領が近づくうえで、同じく福建にルーツを持つことが、有利に働いても不思議ではありません

 

もともと、経済的に有力な支持基盤に乏しかったドゥテルテですから、多くの財閥が触手を伸ばし、大統領も優遇を図ってきた

 

そのなかで、選挙時にドゥテルテを支持しなかったスパニッシュ系(親米が多い)が冷遇され、華僑が良い目を受けたとしても、まったく不思議はありません

 

 

 

f:id:Kicks2018:20200813133055p:image

 

オバマに散々な暴言を吐いたドゥテルテですが、それはオバマ政権が末期だったからこそです

 

トランプに対しては、少なくとも大統領個人としては、好印象をアピールしています

 

あたかも、北朝鮮金正恩が、トランプとの個人的相性の良さをアピールするのに近いものがあるかもしれません

 

一方で、当時のアキノ政権が仲裁裁判所に申し立てた、南シナ海の「スカボロー礁」に関する仲裁ですが、

 

裁判所が中国の主張を、国際法違反として退けたにも関わらず、ドゥテルテは問題を「棚上げしてもよい」と発言し、世界からいぶかしがられました

 

ドゥテルテの発言は、一見するとフィリピンの国益に反しているように感じます

 

しかし、その背景には、フィリピンの置かれた立場、そしてドゥテルテ自身の立場が深く影響しているように思います

 

それにしても、ドゥテルテというのは、ほんとうに「狂犬」のような人物なのか?

 

なんとなく、壊れそうな細い橋をビビって渡る茶番にしか見えないのは僕だけでしょうか?

 

 

 

 

f:id:Kicks2018:20200813133113p:image

 

コロナ感染の問題をとってみても、感染源である中国への対応は各国で差がありました

 

カンボジアのフン・セン首相などは、感染拡大後も中国に対して非常に親和的な態度をみせ、世界を驚かせました

 

東南アジアや、アフリカもそうだと思いますが、中国に対し、経済的依存度が高い国は、政治の世界でも中国に対しシンパシーを表明しています

 

フィリピンも例外ではなく、中国企業や中国人の数が急増しています

 

特に、フィリピンでは、オンライン・カジノに携わる中国人が増えている

 

日本は、ODAという政府開発援助で発展途上国のインフラ整備に寄与してきました

 

最近の中国も、一帯一路やAIIBアジアインフラ投資銀行に代表される、政府援助というかたちで途上国のインフラ開発の「支援」が増加しています

 

しかし、ここが中国の「えげつない」ところなのですね

 

有償援助では、債務不履行にいたった場合、港湾などを代物で返済させるということをやる。つまり、インフラ整備した港などを、中国が取り上げるということです

 

ここのえげつなさに、いまさら途上国が気付いたということです

 

 

 

f:id:Kicks2018:20200813133127p:image

 

しかし、今、途上国はコロナウイルスに苦しんでいます

 

フィリピンなどは、感染者を食い止められず、再び厳しい外出制限措置が敷かれています

 

ただでさえ弱い経済が、このままでは持たないのは、自明です

 

もはやデフォルトも見えています

 

ドゥテルテは今、内心、生きた心地がしないでしょう

 

経済的に苦しむ民衆と、対策を打てない政府

 

民衆の支持を失えば、文字通り「死」が見えてくるのがドゥテルテという人物です

 

なにしろ、理由はどうあれ多くの市民を殺していますから

民衆と、次の政権が彼を許すかどうか

 

 

そして、こういうところに再び「手を差し伸べる」のが、中国だったり、さらにはロシアだったりします

 

 

今、ロシアが、コロナウイルスのワクチン臨床試験をフィリピンに持ちかけています

 

金でワクチンを買えないとすれば、タダでもらうか、臨床試験の実験台になるしかない

 

とにかく、感染を抑えて、経済を回さないことには、破綻が秒読みで近づいています

 

世界各国が自国の対策で手一杯の、このタイミングで経済的に弱い国に近づく勢力がいる

 

もちろん、支援自体は批判されるべきものではないでしょうが、そこに高い代償が伴うとなると話は別です

 

 

第二次大戦後、東南アジアの国々は、外国勢力に対して厳しい規制を定めてきました

 

外資規制と呼ばれます

外国人の土地所有は当然のこと、法人設立時の出資割合などを厳格化することなどで、兵器ではなく経済による、再びの植民地化を牽制してきました

 

しかし、多くの国が苦境にある現在をとらえて、政府、民間の垣根を越え、経済的な浸透を続ける国があることは注視すべきと思います

 

いつか通った、かたちを変えた帝国主義と侵略の足音に、途上国がどう対処できるか。

 

フィリピンにとって日本は、かつての「宗主国」でもあります

そして、この地域は第二次大戦時の日本にとって要衝でもあり、南シナ海は、多くの特攻隊員が亡くなった激戦地でした

 

敗戦後、この地域の国々と、小石を積むように関係の再構築を図ってきた日本にとっても、南シナ海の問題を他人事にしないということが大切ではないかと思っています

 

 

 

 

ここまで、3回に分けて東南アジア、特にフィリピンの目線から中国をめぐる私見を書いてみましたが、なかなか思いをまとめるのは難しいと、今さらながら感じました

 

記事が、3回の長文になってしまいました汗

 

自分なりの見方なので、「違う」というところもあるかもしれませんが

 

長々と読んでいただき、ありがとうございました