何かをやって、とても上手くいったら、次の新しいことをやり始めよう
成長に長い間浸り過ぎてはいけない
次にすべきことを見つけていこう
真摯に取り組んできた何かに、結果が出始めた
生きてきて、幸せな瞬間です
頑張ってきたことが報われた
素直に、自分をほめるべきです
自分に自信が湧いてくるのを、ありのままに受け止めることです
しかし、
その居心地の良さにいつまでも安住し続けてはいけない
ジョブズは言います
それは何故なのか?
いくつかの事象から考えてみます
コダックと聞いて、すぐにイメージが湧く人はきっと写真が好きな人でしょうね
かつて、フィルムカメラが全盛だった頃、コダック社のカラーフィルムが世界で圧倒的なシェアを誇っていたのです
コダックが本社を置いたニューヨーク州のロチェスターでは、コダックだけで、実に6万人の従業員を雇用していました
それが1990年代に入ると業容は暗転。2012年には、日本でいう民事再生法が適用され、事実上の破綻に追い込まれます
コダック社を何が襲ったのか?
それは、デジタル化の波です
デジカメが、写真のマーケットを席巻するのと同じくして、コダックの経営はダウンサイドしていきます
同社の主力だったカラーフィルムを使うユーザーが激減したのです
大規模な人員削減など、血をともなうリストラを断行したコダックでしたが、ついに業況を回復させることはできず、現在は印刷業として4千人規模の企業になっています
しかし、このデジタル化とコダック社の間には、実はもうひとつのストーリーがあったのです
デジタル化に屈したとされるコダックですが、世界で最初のデジタルカメラを開発したのも、なんとコダックだったことは、今ではあまり語られることがありません
世界初のデジカメを開発しておきながら、自社のメインビジネスであるフィルム販売に固執するあまり、経営陣がデジカメ技術を封印してしまった
結果は、先に述べたとおりです
過去の成功に囚われるがゆえに、せっかくの成長の芽を自ら摘んでしまった
アサヒビールと言えば、誰もが知る代表銘柄の「スーパードライ」ですが、
これがあまりに強烈なブランドであるために、営業戦略上の「次の一手」がなかなか見出せない。
これを、ビール業界ではドライ病と呼んでいるのです
経営資源をひたすら、スーパードライのブランド力向上に注いだアサヒですが、第3のビールやチューハイなどの台頭、そもそも若い世代がアルコール離れを起こしたことなどからビール市場は年々縮小していったのです
そこにダメ押しとなったのが、コロナ感染でした
社内でもスーパードライへの偏向に懸念の声があったそうですが、それでも経営陣は過去の成功から離れることはできなかった
日本企業にありがち、といえばそうなのでしょう。しかし、成功モデルの継続を妄信することが実は危ういことを、この事例が教えてくれます
ご紹介した企業の事例だけではなく、
我々の周りにも、
過去の「当たり前」を疑うことなく、思考停止のまま常識が形作られている
そんな事例はないでしょうか?
例えば、はっきり感じるのは、
今、我々が見ている日本の姿は、過去の日本のそれとは異なるということ
日々を暮らす中で、もう過ぎ去った「当たり前」に身を浸して生きてはいないか?
だとすれば、我々は何を考え、何をすべきか?
ジョブズの言葉が、我々の喉元に、剣先のように突きつけられている気がするのです