パタゴニアといえば、アウトドア・ブランドとして有名です
その販売コンセプトはちょっと変わっていて、お客さんに「必要ないモノは買わないで」という、アパレル業界というよりも、商売の常識では考えにくいキャンペーンをやっている
つまり、不必要な自社製品を買ってもらわないでほしいという
なぜ、そのようなメッセージを顧客に発する必要があるのでしょうか?
今日は、2021.11.19の日本経済新聞記事「NEXTストーリー」を参考に、これからの服選びについて考えてみます
パタゴニアの販売戦略のひとつに、自社製品の「修理」があります
ビジネスとしては、量をさばきお客さんに次々と買ってもらったほうが売上は上がります
しかしパタゴニアは創業以来、修理の取り組みを続けてきました
WORN WEARと呼ばれて知られています
修理に持ち込まれる点数は、日本だけで1万数千点にのぼるそうです
アウトドア・ブランドらしくというのか、地球環境へ配慮、サステナブルな意識を拡大したい意図があってのことです
高品質の服であれば、修理しながらでも長く着続けられる
そんなに洋服の点数は必要ないはず
そんなコンセプトは、衣料品メーカーの利益と相反するようにも感じます
しかし、自社製品の修理を行うアウトドア・ブランドメーカーはパタゴニアだけではありません
同じくアウトドア・ブランドのザ・ノース・フェイスにもリペア・センターがあって、ダウンなど自社製品を補修するサービスを受け付けています
おそらくですが、こうした自社製品の修理というのは利益率から考えると、決しておいしいビジネスとは言い難いはず
やはりアウトドア・ブランドには、自然との共生、環境問題に取り組む姿勢を明確に示すメーカーが多い。またそれが自社のブランドを強固にするという側面も当然あるでしょう
一方ですが、こんな調査結果もあります
消費者庁が発表した「サステナブルファッションに関する消費者意識調査」の結果なのですが、
洋服を買ったのに、着なかった経験がある
そういう人が、72.5%いる。実に、7割以上の人が、そんな買い物をしたことがある
なぜ、着ない服を買ってしまったのか?
似合わなかった 37.2%
サイズが合わなかった 25%
しかし、そういうのは事前に試着するとか、吟味がなされれば本来は起こらないはず
そういう買い物をするのは女性よりも男性に多いようです
着ない服をタンスにしまっておいても、まさにデッド・ストック。収納スペースは取られるしで、悪循環ですね
着ない服を買ってしまう。約8割というと、ほとんどの人がそんな経験を持っていることになります
サステナブルももちろんですが、経済的にも合理的ではない、ムダな買い物になってしまいますね
買い物というのは、それ自体が楽しい行動ですし、手持ちのアイテムが増えるのは純粋にうれしいことでもあります
ただし、我々は時として、買い物自体が目的化してしまったり、衝動的に買ってしまうこともよくあることです
本格的な冬のシーズンが到来しました
気に入った洋服となると、とかく値段も張りがちです
ましてバーゲンなどというと、消費意識を刺激されがちになります
サステナブルと声高に言えるほどに、このブログは意識高い系でもないのですが、しかし何も、着ない服を買うこともないよね、と思うのは当たり前でしょう
これまでデフレ経済といわれ、その気になれば洋服も安く買えていた日本ですが、
インフレが顕著となりつつあるなか、日々の買い物であっても、目的と手段を混ぜないように立ち振る舞いたい
誰もがしがちな失敗、そしてパタゴニアの記事から、そんなことを感じました