Another skyを探す旅

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商社の戦略から考える。アフターコロナの戦い方は「プロダクトアウト」か「マーケットイン」か?

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商社といっても、旧財閥系の三菱商事三井物産住友商事などもあれば、非財閥系の伊藤忠、丸紅などさまざまです。

 

これまで、商社のなかでもトップといえば三菱商事といわれてきました。

 

 

僕が連想するのは、

海外で仕事をした人なら感じるかもしれませんが、現地の日本人商工会議所で、会頭といえば三菱商事の現地支社長の定席。そんな地域も多いのではないでしょうか

 

そんな商社の業界にも、異変が起きているようです

 

これまで業界4位だった伊藤忠商事が、時価総額三菱商事を追い越した。

 

日本経済新聞 (2020.6.2)によると、三菱の時価総額3.69兆円に対し、伊藤忠は3.76兆円

 

今日は、伊藤忠会長CEOの岡藤氏のインタビュー記事「財閥系に勝つ伊藤忠の『竹やり』戦略」を参考に考えてみます

 

 

 

これからのビジネス戦略に必要なのは「プロダクトアウト」なのか、「マーケットイン」なのか。

そんなことを考えながら、これからのビジネスのあり方について思いをめぐらせたいと思います

 

 

 

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伊藤忠の岡藤氏は指摘します

 

商社に共通する一番の問題は、売り手優先の「プロダクトアウト」の発想からぬけられないこと

 

でも、「それではダメ」だと

 

やっぱり顧客が必要とする商品を、その都度納める「マーケットイン」に変えないと

 

しかし、これがなかなか難しいそうです

 

商社というのは全て、商品ごとの縦割り組織になっており、100年以上商品を縦割りで売ってきた

 

それを一気にマーケットインに変えたら、商社の商売が壊れてしまうし、対応できないのだそうです

 

今、伊藤忠はその改革を進めている、と岡藤氏は語っています

 

「マーケットイン」について考えるということは、これまでの商社の在り方自体を問うことになる。そういうことだと思います

 

 

 

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「プロダクトアウト」というと、一般的には、何らかの技術や製造能力という裏づけのもとに、売り手側の発想にもとづいて商品の開発や販売をおこなうことですね

 

一方、「マーケットイン」というと、買う側のニーズにもとづいて、商品を提供していく

 

これまで、特に財閥系の商社が強いとされてきたのは、原油や石炭、天然ガスを扱う「資源ビジネス」でした

 

明治時代からの重厚長大産業の基礎を、財閥系商社が支えてきたということです

 

そこに、非財閥系の商社が食い込んでいくのは、なかなか難しいことでした

 

関西の繊維商社をルーツに持つ伊藤忠にとっても同様です。

そこで同社は、生活消費関連などの非資源の小規模なビジネスを積み上げていったということになるのでしょう

 

 

現在、世界は新型コロナウイルスの影響によって、経済活動が停滞しています

 

寸断されたサプライチェーンは、短期間での全回復は容易ではありません

 

商社というのは、モノが流れないと商売にならないので、影響が小さいはずがありません

 

 

ここで僕が考えたのは、商社に限らず全てのビジネスで、これまでの価値観や常識が今までのように通じなくなってきている

 

今まで売れてきたモノが、ほとんど売れなくなったのです

 

経営者にとって、コロナ後の企業運営というのは相当に難しいものになる。それが、これから一層はっきりする

 

そんなことを思います

 

 

 

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経済活動に大きな影響を与えたコロナウイルスですが、そんななかにあっても株価が上昇し、時価総額を増やしている業種もあります

 

すぐに思い当たるのが、

医薬品、ヘルスケア関連です。医療関連銘柄は堅調な推移をみせています

 

他にも、

物流関連ですね。多くの人が外出を避けるなか、ネット通販は大きく伸びました。

また、デジタル関連銘柄も注目を集めています

 

一方で、株価が伸び悩むのは、前述の重厚長大といわれてきた鉄鋼や化学などでしょう。株価が回復したといわれる昨今にあって、コロナ前の半値水準に長らく留まる銘柄も見受けられます

 

他にも、自動車関連株や、航空会社、鉄道会社にとっても逆風でしょう

 

GoToキャンペーンも、休止が決まりましたが、衣・食・泊と呼ばれる業種は、小規模事業者が日々の資金繰りにも苦しむ状況です

 

 

 

 

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コロナウイルスによって人々の生活様式や考え方に変化が起こっているいま、

 

これまで当たり前のように顧客に提供してきた商品やサービスが、受け入れられなくなっている

 

コロナが落ち着けば、また客足は戻るはず。そういう商売もあるでしょう

でも、今までのように戻らない。そういう商売もあることでしょう

 

いま大切なことは、コロナの渦中にあって、またアフターコロナの世界で、顧客が何を求めているのかを考えることでしょう

 

コロナのなか、今お客さんが何を望んでいるのか考えることを停止した企業は、近いうちに市場から退場することになります

従来のプロダクトに魅力がなくなる。時代の変化に着いていけなくなるからです

 

もっといえば、

売り手側から、お客さんに対して新しい価値をもっと提案していくべきだろう

そんなふうにも思います

 

今現在、コロナ後の将来がどうなるかなんて分かっている人間は誰もいません

 

であれば、ふだん接しているお客さんや、まだ知らない多くの人が何に喜びを感じるのか。そこを深く考える

 

そして、自社がどのように価値提供できるのか

 

そこを追求した先には、「プロダクトアウト」や「マーケットイン」という二元論的な議論を超えた、これからのビジネスにとって大切なものがあるような気がします

 

「プロダクトアウト」と、「マーケットイン」は、対極にある概念ではなく、どちらもこれからのビジネスを構築していくうえで不可欠なもののように思うのです