アメリカの長期金利が急上昇している。そんなニュースを見聞きすることが増えました
借りている(または、これから借りようとしている)住宅ローンの金利は、どうやって選べばいいの?
そんな疑問を今、多くの人が持っていることでしょう
住宅ローンの適用金利をどうするか?
借り入れの使いみちが住宅購入である以上、もともとの元金が大きなものになりますね。ふつうは数千万円。金融機関が設定する借入限度額は、1億円から数億円におよぶ場合もあります
元金が大きいほど、支払利息は大きなものになります。なので、金利幅がたとえ0.1%の上下動であったとしても、一般家計におよぼす影響は馬鹿にならないのですね
これから住宅ローンを組もうとしている人、あるいは住宅ローンの固定金利特約の更新を控える人の多くが、ここで悩むことになります
金利はこれからどう推移するのか?自分はどう選択するべきなのか?
住宅ローンというのは、借り入れ期間すべてを固定金利に設定するものから、(たいていは)6か月ごとに見直しが発生する変動金利、また2年、3年、5年、10年などの特約期間を定めて金利を固定する形態など、さまざまです
ただ、選択肢がさまざまであるが故に、多くの人は悩むことになるのですね
これからの人生を左右しかねない選択なので、悩むのは当然。
ですが、少なからぬ人々に、なにか大切な視点が欠けている。そんな気がしてなりません
今日は、なにが「欠けている」のか?そんなことを考えてみます
答えは、「リスク許容度」にあると思っています
たしかに今、金利上昇というニュースが増えている気がします
今日(2022.2.12)時点で、米10年債の利回りは1.912%。ちなみにちょうど1年前は1.212%。
時系列でみると、アメリカの金利は上昇しつつあるのは間違いありませんね
今、アメリカではインフレが深刻な問題になっています。状況によっては、バイデン政権の足元をすくいかねない。そんなこともいわれます
マネーの過剰流動性。コロナ以降、アメリカのみならず世界各国ではお金を「じゃぶじゃぶ」の状態にして、血液が回らなくなりそうな経済を循環させ危機を乗り切ろうとしたのですね。
ただ、そのひとつの結果として、株高や不動産価格の高騰、さらにビットコインの爆上げや、挙句の果てにロレックスやNFTなど、これまで投資の対象とされなかったあらたな「資産」の高騰を招いています
一方で、原油高はご存じの通り、資源価格の高騰は一般家計にも大きな打撃を与えています
最近日本でも、徐々にインフレへの心配がされるようになってきました
ガソリンや灯油だけでなく、食品など話題になりますね
しかし、タチの悪いことに、一般サラリーマンの給料は急には上がってこないですね。特に日本。
「入り」は変わらないのに、「出」が増えている。そんな状況では、家計支出の大きなウェイトを占める住宅ローンの返済額にも、神経質にならざるを得ません
そんななか、1月31日に住宅ローン金利の上昇がニュースになりました
「住宅ローン金利、6年ぶり高水準 3メガバンクの10年固定」(日本経済新聞 2022.1.31)
これは、日経新聞の見出しなのですが、3メガバンクがそろって10年固定金利の基準金利を引き上げました
三菱UFJ 3.49%
三井住友 3.50%
みずほ 2.80%
これは基準金利なので、ここから借入人の属性(職業や資産背景)、あるいは取引内容を考慮して金利は個々人で(基準金利より安く)異なる設定になります
とはいえ、この水準は2015年から16年と同水準となります
引き上げ幅は0.10%であったりするわけですが、先ほどもふれたとおり、住宅ローンというのはもともとの借入額が大きいので、支払額におよぼす影響も無視できないのですね
自分個人としては、アメリカの金利はさらに上がる(つまり、米長期国債価格はさらに下落する)というシナリオを立てて投資をしています
しかし、日本の金利となるとまた別問題でもあります
ここで多くの人が迷うのです
いったい、この先の金利は上がるのか?
金利設定はどうすればいい?
住宅ローンを抱える(これから借りる)人にとっては、深刻な問題なのですね
しかし、ここで問題なのは、
多くのローン保有者(検討者)が、「にわか相場師」にでもなったかのごとく、この先の金利について予想し始めるのですね
で、ネットを適当に検索し、自分が安心できる論拠を求める。たまたま見つかった記事に、自分の大切な判断をゆだねてしまう
でも、そのような記事やYouTubeチャンネルが正しいかどうか。そんなこと誰にも分からないわけです。もちろん、記事を書いた人だって責任を取ってくれません苦笑
では、どうすればいいか?
答えはありません。誰もこの先の金利をよむ(当てる)ことはできません。完璧に当てられたら、大金持ちになれます
仮説を立てることは大切です。しかし、その仮説を実際の選択にどこまで反映させるのか?
つまり、自分に、どこまで不測の事態に対応できる「リスク許容度」があるのか?そこを見極めることが大切でしょう
お金がないから、ローンを組んで住宅を買う。当たり前じゃないか?
まあ、たしかにそうなのですが。
しかし、世の中にはそうでもない人がいます。それも、少なからず。
住宅ローン金利は、空前の低水準でした。今も、実は大勢は大変わりしているといえない
なにしろ、いまだに2年固定では金利0.2%程度でお金を調達できてしまうのです
一方、例えば株式市場をみると、コロナショックで約16,000円にまで落ち込んだ日経平均株価が、30,000円まで上昇しました
つまりですが、住宅ローンを借りておきながら、手元資金を株式などで運用していた人も、この「資産バブル」とよばれる世には一定程度いたということです
まあ、その最たるがビットコイン投資ということになったのだと思いますが
つまり、住宅ローンを低利で借り、しかも住宅借入取得控除で「逆ざや」のメリットを享受しつつ、さらに手元に持っていた資金で投資をするという、
まあ器用な笑、そんな人もいたはずなのですね
こういう人は、住宅ローンを上回る額の金融資産を持っていたりする。つまり、住宅ローン金利が急上昇すれば、損得勘定を計算したうえで、いつでも返済できる
資金管理が上手いのですね
どうにでもなる。つまり、この先の金利上昇「リスク」を許容できる度合が高いと自己判断すれば、それに見合う「リターン」、つまり現状の低金利を享受できる
逆に、毎月返済額の多少の増加も許容しがたい。そのように感じるならば、金利「リスク」を極力回避する道を検討すべきではないでしょうか
もちろん、長期金利を選択すると、金利負担は増えることになりますが、それでも負担分を含めた返済計画を立てて、生計を考えていく
ここを考えずに、まだ低金利は続くだろうなどと自己判断し、不安を感じながら日々を暮らす。
それでは、住まいを手に入れて幸せに生きるという目的が、本末転倒になりかねない。そのように感じます
繰り返しになりますが、
この先の金利がどうなるか。その明確な答えは、誰も持ち合わせていません
そこに自分の人生をフルベットするのは、資金管理ができないギャンブラーのやることです
金利推移について、仮説をたてつつ、
自分が取れるリスク許容度を見極めて立ちまわる
それができないと、自分のみならず家族にまで苦しい思いをさせてしまうことになります。
よくよく考え、地に足を付けた立ちまわりをすることが大切です。