今日は、仮想通貨についての記事です。
本記事では、暗号資産とせず、従来からの通称である仮想通貨を用います。
2023.6.8の日経新聞から、
「仮想通貨は不要」の大文字
米SEC委員長、摘発を強化
バイナンスの資産凍結要請
こんな見出しが並びます。
SECとは、米国の証券取引委員会のことで、ゲンスラー氏は委員長を務めます。
このゲンスラーという人物、かつてはMIT(マサチューセッツ工科大学)でブロックチェーンの研究をしていたということで、氏がSEC委員長に就任した当初は仮想通貨業界の進展が一気に進むと期待されたものです。
仮想通貨に関しての知見が深いといわれており、ゲンスラーが委員長の間に、仮想通貨民の長年の夢でもあるビットコインの現物ETFも承認されるのではないかと期待されていました。
しかし、ここにきてゲンスラー率いるSECは仮想通貨「不要論」を掲げ、引き締めを強化する動きに出ています。
特に象徴的なのが、世界最大手の仮想通貨取引所であるBinanceバイナンスの資産凍結を裁判所に要請したことです。
バイナンスに続きCoinbaseコインベースも提訴し、仮想通貨への否定色を強めています。
すわ、FTXの再来か?とばかりに、仮想通貨市場は下落をたどり、トレーダーの間では仮想通貨だけが冬の時代を迎えたなどと揶揄されています。
あくまで投資家保護を前面に打ち出すSECですが、ゲンスラーの真の目的は何なのか?
ひとつの仮説ではありますが、
ゲンスラー(とSEC、とバイデン政権)は焦ったのではないかと考えます。
何に?
米国では今年に入り、シリコンバレー銀行を皮切りにいくつもの銀行が経営破綻に追い込まれました。
大口預金者を中心に、銀行からのキャッシュアウトが相次ぎました。
その資金の逃避先となったのが、他ならぬ仮想通貨。とりわけビットコインだったのです。
これは米政府にとっても、SECにとっても、銀行にとってもかなり嫌な流れだったでしょう。
なんといってもビットコインは非中央集権的なアセットです。管理者というものが存在しません。政府にとってもアンコントローラブルな厄介きわまりない資産なのです。
このブログを開設した当初5年前から、ビットコインを重要なテーマとして記事を重ねてきましたが、
ここにきて米ドルの価値希釈、日本銀行の破綻などとよく言われるようになりました。既存の政府や通貨制度に対する不信が高まるほど、厄介なビットコインが世の人々に注目される。それを政府が潰そうとする。この図式が繰り返される気がしてなりません。
仮想通貨に長年携わったゲンスラーがここにきて翻意するあたりを鑑みても、やはり何らかの「危機」は意外と近いのかもしれません。