コロナ禍は、我々の生活様式や消費行動に大きな変化をもたらしました
外出自粛で、百貨店やアパレルをはじめ、小売業が大きな打撃を受けました
ウイルス感染を恐れて、スーパーへ日常の食料品を買いに行くことすらためらわれる。そんな日常を過ごしてきましたね
そして、これから再び感染拡大するかもしれない
そんな不安を誰もが感じています
そんななか、アマゾンをはじめネット通販がコロナ特需の恩恵を受けました
「3密」を避けるために、多くの人々がアマゾンや楽天といったネットによる買い物に注目しました
その流れはおそらく、これからも変わらない。僕はそう思います
ところが、ネット通販の雄であるアマゾンでも、その牙城を切り崩せなかった。それが昔からなじみのある「生協」だったというのです
今日は、週刊ダイヤモンド記事「アマゾンも勝てぬ生協の貫禄」を参考に、なぜ生協がアフターコロナの勝ち組なのか。そして、これからのビジネスのあり方について考えてみます
生鮮に強い生協
コロナウイルスが猛威をふるうなか、対面接客で販売してきた小売業はことごとく苦境に立たされました
売り上げが伸びないどころか、そもそも店舗を営業することさえ難しい
そんな厳しい状況が続きました
対照的に、売り上げを伸ばしたのがアマゾンや楽天をはじめとするネット通販でした
ネット通販であれば、たしかに3密を避けられる
しかし、そんなアマゾンや楽天でも、なかなか伸ばせなかった分野がありました
それが、生鮮食料品の販売です
例えばアマゾンには「アマゾンフレッシュ」という生鮮部門があるのですが、なかなか生協のシェアを切り崩すには至っていません
日本においては、生鮮宅配では生協が牙城を築いているのです
それどころか、このコロナ禍でさらに組合員数を増やしています
新規加入を断らなかった
もともと生協は、共働き夫婦の家庭などに需要がありました。玄関先などに宅配箱を置く「置き配」というやり方で、ニーズに応えてきました
週1回など、きまったペースで宅配してくれるので、忙しい主婦の買い物の手間と時間を削減する助けとなってきました
また生協の独自商品にも根強い人気があります
それがコロナ禍で、できるだけ外出を控えたい家庭のニーズにマッチしたため、加入希望者が増加したのです
1日で処理できる最大許容数が220万個であったにもかかわらず、ピークで270万個の注文が集まりました
このため、現場は通常の10時間体制で対応しきれず、12時間体制を敷いたにもかかわらずこなせなくなるという事態に陥りました
おそらく、このときの生協で働く人々は、相当ブラックな環境にあったはずです
このため、生協では組合員に販売数量を限定したり、セールを取り止めたりしたようです
このとき、既存の組合員からは多くの苦情が寄せられました
特に、新規の加入者受付を止めて欲しいという要望が多かったようです
まあ、当たり前といえばその通りです
加入者が増加したおかげで、欠品がでたりセールがなくなったりしたのですから
しかし、生協は新規受付を止めなかった
なぜなのでしょう
経営とすれば、新規募集を停止し、オペレーションを通常ベースに維持するという選択肢もあったはずです
むしろ、多くの経営者がそう思うのではないでしょうか
そこに、生協が結果的に支持を集めることになった要因があるのです
助け合うということ
生協は、新規加入の受付を続けました
それは、生協が人々の互助を目的とする組織だということと関わっています
コロナウイルスの影響によって、休業要請や外出自粛で日常生活が困難になっている家庭がある。そんな人々を助けるためには、加入を拒むことはできない
そういう経営判断です
困っている家庭のセーフティネットになるという覚悟
この考え方によって、新規加入者が増加し、結果としてあのアマゾンでさえも牙城を崩せなかった
もしかすると、ここにアフターコロナの大切な着眼点があるのかも知れない
そんなことを考えます
多くの人々が、コロナウイルスの影響でつらい思いをしている
どうやったら救えるか。自分に何ができるか
そこを、真剣に考える
そんな発想が、結果として周囲の信頼を獲得する
そこに、信頼関係に裏打ちされたなんらかのコミュニティ的なものができる
それがビジネスにもつながっていくのだと思います
世界の経済活動が、一時的に心肺停止の状態に陥りました
再び感染拡大するのか?いま、そのぎりぎり瀬戸際にいます
コロナウイルスは、いつ猛威をふるうか分かりません
経済的にも、すでに多くの人がダメージを受けています
困っているひとは、周囲にたくさんいるはず
そこを無視するやり方では、おそらくこの先やっていくのは難しい
それは、たとえ国家であっても同じこと。そう思います
独りよがりな考えだけでは、信頼あるコミュニティを維持することが早晩できなくなるのではないでしょうか