昨日、アパレル大手のレナウンが民事再生手続き開始の決定を受けたと報道がありました
レナウンといえば、1990年代には世界最大規模のアパレルメーカーともいわれました
百貨店の業況が下ぶれし、低価格帯ブランドやネット販売に押され、足もとの業況は悪化していました
しかし、なんといっても「とどめ」となったのが、コロナウイルスです
以前の弊ブログでも、アパレルの苦境についてふれましたが、今回の「コロナ不況」は、我々がこれまで体験したことのないタイプの不況になると感じます
今日は、これからさらに深刻化するであろう、コロナ不況の特徴と、変わらざるを得ない我々の行動スタイルについて考えます
百貨店は、これから厳しい
レナウンは、「アクアスキュータム」や「シンプルライフ」、「ダーバン」、女性向け衣料の「エンスィート」など、複数のブランドラインを持っていました
販路は、百貨店や、ショッピングモールなどです
しかし、ご存知のとおり、これらの店舗は長期休業を強いられてきました
「濃厚接触」がともなう接客は、リスクと考えられました
緊急事態宣言が14日、39県で解除されましたが、東京、大阪など首都圏や大都市圏には従来通りの自粛が要請されます
このような状況に陥り、日本中の誰もがコロナに対し疑心暗鬼になっています
おそらくは、これからも「密」を避けた生活が求められます
そんななか、これまでのような対面接客によって営業してきた業種は、かなりつらい
例えば百貨店
デパートといえば、どこの都市でも一等地に店舗を構えるのが普通です
つまり、家賃等の固定費が相当にかさむビジネスモデルですね
しかも、店舗内では「密」を避けた接客が求められる
現状の店舗運営を見る限り、ここに矛盾が生じてしまうのですね
銀座など、東京の中心地では、この傾向はさらに強まります
ブランドショップなど、入居テナントは相当に苦しいはずです
もし、今後、
接客人数を絞って営業していくとしても、客当たり単価を引き上げないと、どうにもならない
逆に言えば、顧客にとっては
百貨店での対面接客によるショッピングは、今後、すごくぜいたくな「嗜好、レジャー」になるかもしれません
これは、公共交通機関などでも同じかもしれません
今、新幹線の乗車率が軒並み10%を切る事態になっています
飛行機は、言うまでもありませんね。国際線は、ほぼ運休です
仮に、もし人の往来が戻ったとしても、
みんな、これまでのように寿司詰めの車両や、足を伸ばすスペースもないエコノミークラスに、安心して乗ることができるでしょうか?
生命と健康が、運賃とトレードオフになる
もちろん、これまでもそういう本質はあったはずですが、コロナがそれを、よりはっきりさせたのだと感じます
巻き戻しがきかないアパレル業界
日本でウイルス感染症が本格化したのは3月に入ってからですから、多くのアパレル店舗では春物のアイテムを店頭に並べていたはずです
しかし、この自粛が明けると、季節はもう梅雨間近です
結局、せっかくのアイテムが不良在庫になりかねません
以前、アパレル関係の知人が、春秋物といった薄手の服は、夏や冬でも混ぜて売り切る、と言っていたのを思い出しました
うまく売りさばくことは、できるのでしょうか?
巻き戻しができないのは、アパレルだけではありませんね
飲食店などは、はっきりしています
人間というのは、毎日食べないとやっていけないので、当然「食いだめ」などできません
なので、これまで休業や縮小を余儀なくされた飲食店は、もう固定費の支払いで明け暮れてしまう
あとで、大量に食べてもらうことなど出来ません
非常に厳しい
このような業種は、少なくないはずです
米FRBのパウエル議長のみならず、トヨタ自動車の社長らも口を揃えて、今回の不況は「リーマンショックをはるかにしのぐ」と名言しています
そんななか、働く場所が維持できるかも、大きな問題になっています
雇用調整助成金という制度を耳にする機会も多いですが、仮に助成金をもらったとしても、経営者としては、なお経費支払いに苦しんでいるのが実態です
いづれ、雇用も危うくなりかねません
そんな状況にあって、誰もが高額の支出を控えますね
つまり、ますますお金が世の中にまわらなくなる
どういうわけか、上がっていくのは不思議なことに、株価だけ
そういう事態になりつつあります
どのように対処するか
この苦境を乗りきるのは、本当に大変なことなのですが
個人として考えられるのは、
原則的に、「収入≧支出」
これを何とか守る
バランスが逆転すると、ローンやクレジットでしのぐことになりますが、
しかし、単月ならともかく、毎月だと破綻するのは明らかです
なかなか投資にまで回す余力を確保するのは、至難の業かもしれませんが、
とにかく単月での生活を整える
これが、すごく大切なように思います
いずれ明けない夜はない、という人もいるのですが、
こと経済的な観点からすると、思いのほか後遺症が長期化する恐れがある
そんな気がしてならないのです
そして、その過程で、いろんな社会構造や価値観が変化していく
そんなことも、思ってしまいます