ジム・ロジャーズといえば世界的にも有名な投資家であり、ジョージ・ソロスとともにクォンタム・ファンドを設立したことで知られます
現在はシンガポールに移住し、愛娘には中国語を習わせていることでも話題になりました
2015年のインタビューでは、日本の将来について悲観的な見解を示していて、
「紙幣の増刷によって自国通貨の価値を下げている。お粗末だ」
「10年、20年後になって、あのとき日本は終わっていたんだなと気付くだろう」
などと指摘していました
図らずも2020年のコロナウイルス大流行によって、日本のみならず多くの国で多額の財政出動がなされました
ジム・ロジャーズは、こうも指摘しています
「経済大国であっても、最貧国になることは歴史的にもみられる」
「若い優秀な人材が日本から流出する」
最近出版された、藤巻健史氏の「資産運用大全」を読みました
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藤巻氏の主張はかねてより、
「日銀には出口戦略がない」財政破綻危機の危険性を指摘し、その結果として
「日銀の債務超過。通貨価値の下落。ハイパーインフレ」を予測しています
元々、世界の中央銀行でも最悪レベルのメタボ状態にある日銀の財務については、コロナ禍のなかで指摘の声が高まっています
仮にコロナが終息し景気回復局面に入ったとしても、次に来るであろう長期金利の上昇によって、日銀は保有国債に莫大な評価損を抱えることとなり、身動きがとれなくなる
その答え合わせが、遠からぬ将来に訪れても何ら不思議ではない
このブログでは、以前より仮想通貨のビットコインについて、動きを捕捉してきたのですが、足もとで4万ドルを回復してきました
資産バブルとも呼ばれる、昨今の金融資産価格の高騰ですが、ことビットコインの価格上昇については単にカネ余りだけでは説明がつかない気がしています
ゴールドしかりですが、人々はインフレヘッジの対抗手段。はっきり言えば「逃避先」を探しているように見えます
ところで、ジム・ロジャーズは必ずしも「ビットコイン推し」ではありません
以前ははっきりと否定的だったように記憶しますが、
最近は、トレードに自信がある者」以外はやめたほうがいい、そんな物言いを書籍で見ました
要するに、逃げ足に自信がなければさわるな
ジム・ロジャーズの著書やインタビュー記事では、
「ビットコイン(に代表される仮想通貨)はいずれ衰退し、ゼロになるだろう」
また、その理由として
「仮想通貨は軍事力に裏付けされていない。政府は仮想通貨を違法な存在として排除するようになる」
と述べています
一方、藤巻氏は著書のなかで、
「通貨発行益がなくなるとか、金融政策が働かなくなるとかで、各国政府は嫌がるとは思う」
としつつ、
「便利で効率的なものを人々が使うのを禁止することは、政府にもできない」といいます
かねてジム・ロジャーズの著書を読んでいたとき、「政府による排除」ができるかについては疑問を感じつつも、かといって明確に反対もできないと感じていました
藤巻氏の見解(「資産防衛大全」)を読んで、個人としては氏の意見に同調しますが、しかし現時点で確信が持てるわけではありません
「政府による排除」があるのか、ないのか? また、そのようなことははたして可能なのか?
このブログがビットコイン推しというバイアスがあることを承知いただいて、個人的に考えるのは、
「政府による排除」はできないのではないか
ということです
世の中に、便利なもの、新しいもの、美味しいもの、楽しいものが生まれたとき、
もっといえば一人の個人として、そのようなものを脳内メモリに認識した瞬間、人というのはその存在を忘れることができなくなるのではないか
そのように感じます
例えは極端ですが、
アフリカの原住民で、文明社会との接触を断ってきた部族の子どもに、iphoneでゲームをさせると、その子は一生、iphoneのことが忘れられなくなる
コカ・コーラを飲んだことがない子に飲ませると、その味を脳内から消すことはできない
人間の欲望とは、そのようなものではないかとも感じます
その子はきっと、平らな石にiphoneの絵を描いて、携帯電話ごっこを始めるのではないでしょうか
人間は、一度知った「可能性」から逃れることはできない
それが例え、政府による弾圧を伴ったとしてもです。
結局のところ、国であっても人と人との集合体である以上、人々の意思を無視したところには、国など成りたたないと考えます
いつかテクノロジーの発展により、ビットコインの技術が廃れる時が来ると思います。
しかし、それまでの幾許かの期間、資産を守りたいという人々のソリューションになり得るとしたら、それを政府が排除することは難しい
いくら堰き止めようとも、ひたひたと染み込んでくる水のようなもの。そのように考えています