毎週月曜日には、個人的な投資の見解を記事にしています。
ご自身の投資判断は自己責任にてお願いします。
最近、資産運用をめぐる情報が錯綜(さくそう)している感があります。
大局観もまちまちになっていて、リスク資産は今後も上昇を続けるという意見もあれば、いつか大きなリセッションに見舞われるとする意見もある。
当ブログにおいては、後者。つまりいつかは大きな後退局面が訪れるという考えにもとづいて投資行動を決めています。
ここで考えたいのは、
もし景気の後退局面が来るとすれば、それはどのような形で訪れるのか?
多くの投資家の記憶に残るのは、何といっても2008年のリーマンショックでしょう。
個人的に今振り返ると、前年の8月にPNBパリバにまつわる経済不安局面があったりしたので、まったく予兆がなかったとは思いませんが、しかしこれは「暴落型」の典型例と捉えられるでしょう。
また直近では、2020年のコロナショックもありました。
こちらも、株や仮想通貨などほとんどのリスク資産で大幅な下落(からの急上昇)が起こりました。
日本市場特有の事例としては、2011年東日本大震災直後の日本株暴落も挙げられます。
リセッションというと、このような暴落を思い浮かべる人も多いのです。
しかし世の中には、違った形のリセッションが存在します。
「継続型」というのはあくまで筆者の造語なのですが、つまりはダラダラとダウンサイドが続く。
もちろん、時々は気休めのような反発が起こりますが、大局では下落を続ける。
個人的には2018年のビットコイン相場が忘れられません。
2017年末に最高値220万円を付けたビットコインが、コインチェックのハッキング問題などを経て1年がかりで暴落し、本当のゴミくずになりかけました。
投資家の多くが退場し、市場は閑散となりました。
こちらは、いつ終息するか分からないだけに、余計タチが悪い。どれだけナンピンしても、ひたすら値を下げていく恐怖というのは、味わった者にしか分からないでしょう。こういう相場で生き残るためには、相当の胆力が求められます。
さて、足もとに視点を戻します。
今という時は、どのような時なのか?
米国が昨年来、政策金利を急激に引き上げ大幅な金融引き締めを図ってきました。
そもそも、前述の2008年リーマンショック、2020年コロナショック以降に実施された世界的な金融緩和が、今日のインフレを招きました。
金融市場のみならず、不動産価格やあらゆる現物資産の過剰ともいえる価格上昇を起こした結果です。
それがいま、おおきなひずみとなって表面化している。
リーマンから逆算して実に15年です。
我々はどこかで、この15年分のツケを支払わなくてはならないのです。
このままお祭りは続くのか、
それとも気付いたら、観客はみんな立ち去った後だった。ということになるのか。
さらに都合が悪いことに、米国だけではなく、経済規模で世界2位の中国も相当にまずい状況です。
恒大集団や、碧桂園といった中国の不動産デベロッパーは今、瀬戸際に追い込まれています。
想像を絶するデフォルトを中国政府がどのようにソフトランディングさせられるのか。
不動産価格もそうですが、中国は物価上昇率が大きく下振れ、デフレの様相を呈しています。加えて若年層の20%を超える失業率も深刻です。
つまり、この後の世界を牽引(けんいん)できる実力を持つ国がどこにもいないのが実情なのです。
このような状況で、我々としてはこれまで体験した暴落型の下落局面だけではなく、というかそれよりももっとタチが悪い底なし沼のようなリセッションも視野に入れておく必要があると感じます。
そのような局面では、どんな資産を保持していれば良いのか、どこにポジションを取ればいいのかの投資家としての判断が、恐ろしく難しい。そんなことになるでしょう。
マイケル・バリーのようにショートにオールインするのか。まさに世界は、映画「マネーショート」を地でいく展開を迎えようとしています。